コゲラ日記

「先生、鳥の赤ちゃんが校庭にいる!」  巣から落ちたヒナはコゲラでした。保護して巣立たせるまでの1ヶ月間の日記です。

                     用務主事 福山さんの書いた「コゲラのヒナとの一ヶ月」

5月1日 校庭に1羽の小鳥のヒナが落ちているのを
児童がみつけました。
羽毛ははえそろっていますが、まだ飛べないヒナです。
カラスに巣から落とされたのでしょうか?
頭にはつつかれたような傷があります。
春はいろいろな鳥が卵をかえし、ヒナが育つ季節です。
ヒナはカラスに狙われやすく、巣から落ちてしまうこともあります。
でも、巣から落ちてしまったヒナを全て保護して良い訳では
ありません。
巣立ちの練習をしていて、巣から落ちた場合、
親鳥が見守る中で、ヒナは試練を受ける必要があるからです。
人間が手を出して良い場合と、出してはいけない場合があります。
5月2日 また2羽児童がみつけました。
昨日とは離れた場所ですが、やはり頭に傷を負っています。
羽の模様からコゲラだとわかりました。
少し落ち着いたのでしょう。
鳴き声がしっかりしてきました。
すり餌をひんぱんに欲しがります。
5月3日 3羽のうち、1羽が力尽きました。
救いようがあったのでは、と後悔します。
自然の摂理と思えば良いのでしょうか?
残りの2羽はよく食べて、よく鳴きます。
ドラミングも始めました。
ヒナはとてもデリケートです。
もし、拾ったら箱などに入れて、暗くして、
静かに置いて、落ち着かせてあげましょう。
獣医さんや鳥屋さんに相談しましょう。
それぞれの鳥によって、エサや育て方がちがいます。
野鳥は特にむずかしいので、注意が必要です。
5月6日 オスが飛びたがり始めました。
50CMぐらいまで飛ぶこともできます。
いき餌(虫)に興味も出てきました。。
5月3週目 小学校では子どもたちの人気の的です。
20分休みや昼休みに鳥かごのまわりに
子どもたちが集まります。
でも、野鳥のコゲラは外で生きていくもの。
人になついてしまうのが、少し心配です。
2羽ともいき餌を良く食べます。
環境を守ること、命の大切さを学びましょう。
どんな動物も命があり、一生懸命生きています。
むやみに捕ったり、いじったりしないように。
周りに自然があるといろいろな出会いがあり、
心も豊かになります。
大人も子どももこのコゲラたちとの出会いを通して
命の大切さ、心の豊かさ、やさしさ、思いやりを考え、
学ぶ良い機会です。
5月16日 オスはかなり飛べるようになりました。
空中で旋回することもできます。
そろそろ、放す時期が来たようです。
5月20日 いよいよオスを放すことにしました。
可愛がってくれた4年2組の子どもたちがみんなでカゴを運び、校長先生が
見守るなか飛び立っていきました。
元気良く、たくましく生きていってほしいです。
 
コゲラってどんな鳥?
(↑クリックするとわかります。)
5月24日 飛びたがらないメスは羽を怪我しているのでしょうか?
野鳥は飼ってはいけない鳥です。
東京都の鳥獣保護局にも相談し、
獣医さんに診てもらうことになりました。
結果は、羽がまだ弱いとのことでした。
大きいカゴに変え、羽が丈夫になるのを
見守ることとなりました。
5月27日 カゴが大きくなったからでしょうか、
メスも飛ぶ意志がでてきたようです。
今までは廊下にカゴを置いていましたが
外で生きていくためには、太陽も必要。
職員玄関前で、日光浴です。
     カゴの近くに来ました。

   ついにカゴの上に  
5月29日 外での日光浴にも慣れてきたようです。
元気に美しい声で盛んに鳴きます。
その鳴き声を聞きつけて、もう一羽のコゲラがカゴの周りを行ったり来たり飛んでいます。

人間が近くにいても、もう1羽のほうは平気な様子。
先に放したオスのコゲラなのでしょうか?
それとも、メスの鳴き声にひかれたのでしょうか?
段々とカゴに近づいてきます。
そして、ついには、カゴの上にまでとまりました。
カゴの中のメスも一緒に遊びたそうです。
飛び立つ時が来たのかな?一羽だけ放すよりも、仲間と一緒なら、エサもみつけやすいはずです。

カゴのふたを開け、いつでも中から出られるようにして、様子を見ました。
でも、この日、メスが飛び立って行くことはありませんでした。
また、オスは誘いに来てくれるでしょうか?
5月31日 今日も日光浴にカゴを外に出すと、またオスが周りを飛んでいます。そして、近くの桜の木に雄がとまりました。
メスを放してみよう・・・そう思いました。仲間が来てくれているのです。チャンスです。
今日はメスがカゴから出るのを待たず、カゴから出してオスのいる櫻の木にとまらせました。
ちょっとの間、桜の木をつついていました。飛ばないのかな?まだ放すのは早かったかな?不安がよぎります。

でも次の瞬間!3羽のコゲラが飛んでいきました。
カゴにいたメスと誘いに来たオス、そして、そばにいたことに気付かなかったけれど、その2羽よりも少し大きめの親鳥らしき1羽です。
こんなにメスが飛べたなんて。10mぐらい飛んだでしょうか。飛べる自分に驚いたように、メスは急に旋回して、校舎にとまってしまいました。
親鳥らしき1羽は校庭を横切り、「わくわく動物広場」の大木の方へ飛んでいきました。
きっとそこに巣があるのでしょう。オスと一緒に巣へ案内するつもりだったのでしょうか。
メスはカゴの外の世界に戸惑っているようです。校舎の窓枠にとまって、あたりをつついています。
オスはそばの木にとまって待っています。
やっと、メスも校舎からそばの木まで飛び移りました。あとは、オスに任せる事にしましょう。
きっと、あの大木の巣へ、親?仲間?の元へ連れて行ってくれるはずです。

また帰ってきてしまったらどうしよう?・・カゴはしばらくふたを開けたまま、職員玄関前に置いておくことにしました。
でも、そんな心配は無用でした。夕方になっても、メスが戻ってくる事はありませんでした。
空になったカゴを見て、子どもたちが何人も「どうしたの?」と聞いてきます。
   「おうちに帰ったんだよ」